希望の国(園子温、2012年、日本/イギリス/台湾)@シネマクレール

cinema

この映画を見て真っ先に思ったことは、こんな恥ずかしいことはなかなかあれなのだけど、隣にいる人を大切にしよう、ということだった。あー恥ずかしい。恥ずかしいならわざわざ書かなくてもいいのにと思うのだけど、だけどそれはとても大切なことのように思うので書く次第です。

というよりは、映画を見て、そういうわかりやすく「私もこうしよう」みたいなことを思うことってめったにないので、そういう私にとってはわりと珍しい効果を与える力を持った映画だったということだろうと思う。

 

題材や撮影場所からして、きっと賛否が別れる映画なんだろうとは思うのだけど、他の人の感想等を読んでいないのでわからないのだけど、どうであろうと、雪の中での夏八木勲と大谷直子の盆踊りであったり、花壇での抱擁であったり、転向した村上淳をほの白い抗菌仕様の部屋で迎える神楽坂恵の笑顔であったり、あるいは端々で彼女が見せる「もうそれ演技とか通り越して泣いてるだろ」という感じの泣き顔であったり、ラストの渚にてな場所での関係の逆転であったりは、否応なく力のある場面だったと思う。

それに、価値観や立場を異にする者たちが一つの危機に面したときに起こる様々な対立や摩擦を、この映画はどこかに偏ることなく、しっかりと描き出すことに成功しているんじゃないだろうか。チェルフィッチュの『現在地』にも通じる危機を巡るディベート劇。

どの役者もよかったけれど、もしかしたらあざといと見られることもあるのかもなーと思いつつ、大谷直子の感じがとてもよかった。

 

新年2本を立て続け(あと2分で本編です!という移動)に見たのだけど、ともにぐしゃぐしゃになりながら泣いた。たいへんよかったです。

 

園子温監督のロングインタビュー前編。現在の日本が直面する原発事故をテーマに選んだ『希望の国』、過酷な現実を描いた最新作のアウトラインを紐解く。 | Web Magazine “Qetic”
園子温監督が語る『希望の国』ロングインタビュー後編。被災地における人物と風景の描写について、行間に込められた想いを語る。 | Web Magazine “Qetic”
希望の国|THINK PIECE|honeyee.com Web Magazine


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