6月

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ギアナ高地はコロンビア、ベネズエラ、ガイアナ、スリナム、フランス領ギアナ、ブラジルにまたがってあると書かれているけれども地図を見た限りだとコロンビアはかすっている程度で、ブラジル北部とその他あれこれ、というところがだいたいというところのようだが、先日テレビをつけていたところギアナ高地を歩く人の姿が映しだされ、それはたいへん壮大な光景で、テレビというのもそう悪くないものであるどころか時によってはとてもいい、と思うきっかけの一つにもなったわけだったし、その数日後、日曜日の晩、夜7時からは鉄腕ダッシュが、8時からはイッテQが続けてある日本テレビは、とてもよいのではないか、素晴らしくよいのではないか、とすら思ってしまったほどだった。鉄腕ダッシュでは最高のラーメンを作るために最高の麺を作るために最高の小麦を作るために荒れた土地を耕すという段階が映され、イッテQではバヌアツ共和国の真っ赤なマルム火山が映された。マルム火山はちょっととんでもない赤さであり、私は諸手をあげて「ブラボー」と叫んだと、のちにその場に居合わせていた父母によって聞かされた。そういうこともあってか、昨日からジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』を読み始めて、本屋に行った際に何文庫かわからないので探しようがない、と思った私はamazonアプリを立ち上げて「銃 細菌」で検索をしたのだが、ちゃんと教えてくれた。たいへんありがたい融通の利き方だった。

 

昨日から、だから、『銃・病原菌・鉄』を読み始めて、最近は惰性で本を読んでいるというか、適当に読んでいる感じがとても強かったため、それは生活の状況がそうだから仕方がない、みたいな言い訳をしたくもなるらしいけれども、でもたしかに今は何もない私、誰でもない私、みたいな宙ぶらりんで、早く、早く、みたいな焦りがある、ということはよく理解はできるけれども、でも実際に時間がないのかと言われればここ数十年のあいだで一番あるというぐらいに時間はいくらでもあるのだし、であるならば丁寧な読書をしてもいいのではないか、適当な読書をするのはその焦りみたいなところに押しつけておいてその実はただ怠惰に、早く、何冊も本を読んじゃおう、読んじゃうぞ、みたいな気持ちの現れなのではないか、という疑念も十分に成立するものであり、そういうところで『銃・病原菌・鉄』についてはちゃんと読むぞ、みたいなところで先月ぐらいに「本はこうやって読んだらいいよ」みたいな内容が書かれているブログで紹介されていたパラグラフごとに要約を書きながら読んでいこう、みたいな読み方を実践してみているわけで、ここらへん素直だなと思うのだけど、だからパラグラフごとに今は要約を書きながら読んでいるので時間はかかるのだけど、ここで思い出してほしい、私はいま時間だけはひたすらにあるのだ、ということを、という感じで、ノートを何枚も埋めながら読んでいる。

第一章は人類誕生から最終氷河期が終わる1万3000年前ぐらいまでを扱っていたのだけど、それを読んでいると、人類歴の長さ的にはアフリカ完全にチャンピオンというかすげーなーみたいなところがあり、なんせ500万年前だったか700万年前だったか、そういうところからずっとおられるみたいで、アメリカ大陸とか1万年前とかだから、アフリカのこの圧勝感はんぱないなー、と思って、人類とか、そういうことを考えていたせいだろうか。昨夜は人類が滅亡するところだったらしかった。

 

周りの人たちが次々と、気づいたらなんか変になって、体の一部を膨張させて破裂して死ぬ、という光景を何度となく見た。この調子で俺も死ぬ、今日死ぬ、ということがよくわかった。知り合いが子供を二人連れて海沿いの道を北部へ向かって歩いていた。少しばかり清々しい表情をしていたように思う。屋敷に集まっていた人たちの中にはここぞとばかりに私怨を晴らそうと凶行に出る者もあった。それはもしかしたらしょうがないことだった。屋敷も静かになった。パソコンだったかスマホだったかを見ると、何かのスレッドにメッセージがあれこれと書かれていた。もうほんと終わるんだなと、それはずいぶん静かな午後になってきた。家族は別々の部屋にいた。いたというか、一緒にいたけれど、ある段階で別々の部屋に移った。スマホの電源が残り19%だったところで落ちて、iPhoneちゃんはこういう日にもそれやらかしますかー、と思って、充電をしようかとも思ったのだけど、いやもう死ぬのにフェイスブック見るのもなーと思って電源落ちたままにした。なんだか喉に異変を感じた。これは死ぬ予兆なのか、と思った。死ぬことに対しては圧倒的な恐怖感があった。怖すぎるしまだ全然死にたくなかったなと思った。

 

という夢を見た。本当に怖かったので起きたのは8時前という早い時間で、わーこんな時間に起きちゃったし怖かったし夢で本当によかったと思って母が淹れてくれた茶を飲んだ。そのあとベッドに座っていたら寝ていた。映画は引き続き見ていないで私はビールを二つ飲んだ。そこまでやっていた作業はもはやはかどらなくなり、それはひたすらなリストアップの作業だったし、私はいったいいつ、新しい仕事を始めることができるのだろうと考えると気分は緊張したり塞いだりおちこんだりもしたけれど、私はげんきです、みたいなことになった。ビールを二つ飲んで、十分に酔っ払って、早く寝るつもりがまったく寝る機会がないのですでに3時半で、あと1時間半でキックオフなので私もそろそろストレッチを始めた方がいいのかもしれないと焦りを覚え始めた。先日どこかを歩いていたらルサンチマンの塊みたいな顔つきをした男が闊歩していて近づかなかった。


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