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ちょっとカタカタするから、2時ぐらいには帰るわ、と言って時すでに4時半。せっかくブログを作ったんだし、ということで予想通りに最初のポストの一週間以内に2つ目のポストをせんと、読んだ本の感想をでっちあげることに決め込んでカタカタとやっていたわけだけど画像の適切な配置法がわからず、けっきょくなんだか気持ちのわるい場所に妙な格好でおさまるというところで妥協せざるをえなかった、というのが現実で、現実とは言っても突き付けられたというような類のソリッドなものではなくぼんやりと、朦朧としてきた頭で感じる茫洋とした、所在のない現実だった。好んで聞くドローンミュージックが頭上で流れている。ストーブが燃える音とだんだんと混ざり合って、時おり通る車の走行音と重なって、どれが音楽で、どれが音楽でないのかの区別が判然としなくなる。すべてが音楽になる。
明日は店は休みで、朝からあれこれをこなそう、と言っていたばかりだった。こうやって人を裏切っていく。自分の、本当に自分だけの満足のためにこうやって人を裏切っていく。どこかで歯止めを掛けなければいけないことはわかっていても、カタカタとし始めると世界はわりと音楽になるというか私だけの音楽になる。私だけの音楽はどれだけ時代が変わってもがぜん燦然と輝き続けるけれど、それでは私たちの音楽は、いったいどこかに存するのだろうか。そんなことを考えて書いた小説というかそんなことを考えたくて書いた小説の手直しもしなければいけない。なぜしなければいけないのか。今回は私一人の話しでなく、多忙の友人に編集をお願いしてあれやこれやとダメ出し等をしてもらっているからだ。それなのに私はそこに向かわず、こんなクソくだらない自己愛のかたまりのような場所でカタカタとまた文字を打ち続ける、キーボードを叩き続ける。打鍵の音が心地いいとか、バカなことばかり言ってないで、と窓を見たら薄汚いひげを生やした冴えない顔つきの男と目が合った。室内にいるなら帽子ぐらい脱いだらどうか。こんな時間まで、この男はいったい何をやっているのか。


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