カリフォルニア・ドールズ(ロバート・アルドリッチ、1981年、アメリカ)@第七藝術劇場

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冒頭の試合の場面でヴィッキー・フレデリックが見せる「来いやおんどれ」という表情が完全なる戦闘モードの顔で、「なんという凄みのある顔をするんだ!」とのっけから持っていかれた。ヴィッキー・フレデリックとローレン・ランドンのあまりの戦いっぷりに、この二人はきっと女子プロレスラーなんだろうと思って見ていただのけれども、二人とも女優の方らしい。当初は女子プロレスラーを起用しようとしていたのだが、演技がどうにもいかずに女優を使ったという。二人は死に物狂いで練習したという。

 

滂沱した。最後のビッグマッチの、ドールズコール、そしてドールズソング、地鳴りのように耳を圧する歓声、観客たちの咆哮、きらびやかな衣装を着た二人の入場、戦いの時間、躍動する体、それをダイナミックに捉えるカメラ、すべてが圧倒的で、苦労した道中をともにしていたためか、もう、応援する気持ちしか湧かない状態で、ともすれば「いけ!」「そうだ!」「最高だ!」等々叫びだしそうにすらなりながら観戦した。映画館で見て本当によかった。映画館で大きな音で、大きな画面で見るのにこんなに相応しい映画はないのではないか。

 

二人のマネージャーを演じるピーター・フォークを見ていると、こういう人物はアメリカにしかいないんじゃないかというような気がしてくる。なんともいえないあのいかがわしさが素晴らしい。生来のさすらい人のようなあの顔つきが素晴らしい。この日ちょうど予告編でも流れていた『コックファイター』のウォーレン・オーツとも相通じるアメリカの男像。かっこいい。

 

最高の女子プロレス映画であると同意に最高のロード―ムービーでもあるこの映画において、三人が車に乗っている様子がとてもいい。運転席と助手席と、後部座席の真ん中、そこで並ぶ三つの顔、そこで生まれているあの三人でしか成立しないような親密な空気がとてもよかった。車と親密さということでは、なぜかいつもマイケル・マンの『コラテラル』が思い出されて、久しぶりにまた見たい。

また、赤々と燃える精錬所や、ドライブスルー式のスーパーマーケットの様子もよかった。


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