トゥルーマン・ショー(ピーター・ウィアー、1998年、アメリカ)

cinema

ソーシャル時代のトゥルーマン・ショー/退屈な日常にさよならを – デマこいてんじゃねえ!

この記事を読んで久しぶりに見てみようと思って見たのだけどやっぱり面白かった。

脚本のアンドリュー・ニコルらしさなのか、『TIME』同様で細部に妙なぎこちなさを覚えつつも、ハラハラ、ドキドキ、なんてことだ!とちゃんと楽しみながら見られた。

特にジム・キャリーが自分の住む世界の欺瞞にほぼ確信を得て妻を連れだして車をぐるぐる走らせるときの白目を剥き舌を出しながら声高に笑うあたりなどは『悪魔のいけにえ』で車椅子のおにいちゃんがおかしくなっちゃったときの様子とほとんど一緒だし、そのあとの激しい夫婦喧嘩のさなかで妻がココアの宣伝をおこなう際のこわばった笑顔とか、あるいは冒頭から何度か繰り返されるジム・キャリーのコメディタッチの反り返り笑いとか、ときおり顔をのぞかせる凶気が見所だった。また、最後にボートの舳先が空を模した巨大スタジオの壁にぶつかるとき、その壁を破ろうとジム・キャリーが叩いたり蹴ったりしながら「おいおいまさかほんとにほんとだったんだこの作り物の世界的なあれこれ」という呆れとか諦念とかを全身から発散させるあの感じや、空を歩いて行くあの見え方や、全世界に向けられた大仰なおじぎや、そういったところがすごくよかった。

トゥルーマンはあのあとどうやって暮らすんだろうか、自伝を出したり講演をしたりして莫大な富を築くんだろうか、ということが気になった。

 

 

 


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